税理士になるための戦略
今回は、税理士になるための戦略について考えていこうかなと思います。
前回は、税理士試験でどの科目を選ぶかという話をしました。
今回は税理士「受験」というよりも、
「どうやって税理士になるのか」
という、もう少し広い話です。
世間一般で言われていることに、私なりの解釈を入れて説明しているような感じです。
参考になれば嬉しいですが、あんまり参考にならないかもしれません。
王道は5科目全部合格する
まず王道は、税理士試験の5科目を全部受験して合格する方法です。
私もこのルートでした。
簿記論と財務諸表論の会計2科目。
そして税法3科目。
これを全部揃える。
非常にわかりやすい方法ですが、やっぱり大変です。
それなりの勉強量を確保しなければいけません。
特に仕事をしながら何年も受験を続けるとなると、かなりの時間と労力が必要になります。
税務署などで働いて免除を受けるルート
次に、税務署や国税局、地方自治体の税務部門などで長く働いて、試験科目の免除を受けるルートがあります。
この制度は勤務した年数や担当していた事務などによって条件が異なるので、単純に、
「税務署で何年働けば税理士になれる」
というものではありません。
ただ、例えば所定の国税の賦課事務などに10年以上従事すると、税法科目について免除を受けられる制度があります。
さらに長期間勤務し、一定の職歴や研修などの要件を満たせば、会計科目についても免除を受けられる仕組みがあります。
なので、国税などで長く働いて税理士になるというルートもあります。
ただし、
「税理士になるために今から公務員になって10年、20年働こう」
という戦略を取るのかというと、これはなかなか難しいですよね。
人生設計そのものの話になってしまいます。
もともと国税や自治体で働きたいという人であれば別ですが、最短で税理士になりたい人があえて選ぶルートではないのかなと思います。
大学院で税法科目の免除を受ける
そしてもう一つが、大学院を利用して科目免除を受ける方法です。
最近は、5科目すべてを試験で合格するよりも、大学院の免除制度を利用して税理士になる人もかなりいるという話を聞きます。
私がもともと勤めていた会計事務所にも、大学院で免除を受けて税理士になった方がいました。
むしろ5科目全部を試験で合格している人の方が少ないくらいでした。
大学院の免除についても細かい要件があります。
税法分野であれば、税法科目を1科目は自力で合格したうえで、大学院で税法に関する研究を行い、修士論文等について国税審議会の認定を受けることで、残りの税法科目の免除を受けるという形になります。
なので、よくある戦略としては、
「簿記論と財務諸表論は自力で合格する」
「税法はミニ税法でも何でもいいので1科目合格する」
「残りの税法2科目は大学院で免除を目指す」
という形です。
もし最短で税理士を目指すのであれば、大学院を視野に入れるというのは十分ありだと思います。
税理士になってみると、どうやってなったかはあまり関係ない
実際に私が税理士になってみて思ったことがあります。
それは、
「どういうルートで税理士になったのかなんて、そんなに重要ではない」
ということです。
5科目全部受験したのか。
大学院で免除を受けたのか。
国税などで長く勤務して免除を受けたのか。
本人にとっては大きな違いがあります。
でも、お客さんからすれば、まず重要なのは、
「税理士です」
と名乗れるかどうかなんですよね。
このライセンスを持っているか、持っていないか。
これはやっぱり大きいです。
「税理士です」という看板は強い
税理士になる前でも、
「経理のプロです」
と言うことはできます。
マネーフォワードの検定を取ることもできます。
弥生のなんちゃら試験を受けることもできます。
TKCの巡回監査士を取ることもできます。
もちろん、それぞれ勉強することには意味があります。
知識を増やすためにそういった検定や資格を利用するのもいいと思います。
ただ、税理士を目指しているのであれば、そこで満足してほしくないんですね。
マネーフォワード検定何級です。
弥生のなんちゃら試験何級です。
巡回監査士を持っています。
そういったものをいくら積み上げても、
「税理士です」
という立場には、やっぱり足元にも及ばないと思っています。
これはかなり強い言い方ですけれども、それくらいライセンスの力は大きいと実際になってみて感じています。
他人から依頼を受けて税務代理をしたり、税務書類を作成したり、税務相談をしたりする税理士業務は、原則として税理士など法律上認められた人でなければできません。
そして何より、お客さんから見たときの信用力が違います。
ライセンス商売というのはどこもそうだと思いますが、
「とにかく税理士になってしまう」
私はこれがかなり重要だと思っています。
受験科目と、その後の専門分野は別
では、税理士になってから何を強みにするのか。
これは受験科目とは別の話です。
例えば私の知っている方でも、
「相続税専門です」
という税理士が何人かいます。
相続税ばかり扱っているような方です。
でも、その方たちは税理士試験で相続税法を受験していません。
国税徴収法など別の税法科目に合格して、大学院免除も利用して税理士になり、その後に相続税を勉強して専門にしています。
それでいいんですよね。
相続税法を受験していないから相続税の仕事ができません、という話ではありません。
もちろん受験した科目の知識は役に立ちます。
私自身、法人税法を受験した知識は今の仕事でもかなり役に立っています。
でも、
「将来やりたい仕事と、税理士試験で受ける科目を必ず一致させなければいけない」
とは思いません。
資格を取ってから、必要なことはいくらでも勉強できます。
変なプライドを捨てて、最短で税理士になる
前回の受験科目の話でも書きましたが、私は、
「変なプライドを捨てて、確実に合格するにはどうすればいいか」
ということを考えていました。
これは税理士になるルートについても同じだと思います。
5科目全部受験することにこだわる必要はありません。
大学院免除を利用できるなら利用すればいい。
税法1科目についても、相続税法や消費税法を無理に選ぶ必要はありません。
自分が一番合格しやすい科目を選べばいい。
例えば、
簿記論と財務諸表論に合格する。
税法はミニ税法でもいいので1科目合格する。
そして大学院に2年間通って、税法2科目の免除を目指す。
うまく進めば、4年、5年くらいで税理士になることも十分視野に入ってくると思います。
私は、なるべくなら5年以内くらいで税理士になることを目指した方がいいのではないかと思っています。
10年勉強するより、5年で資格を取って、その後の5年間を税理士として過ごした方がいい。
少なくとも私はそう考えます。
お金を使わないことだけを優先しない
もちろん、大学院に行けばお金もかかります。
予備校にもお金がかかります。
教材にもお金がかかります。
お財布との相談は当然あります。
ただ、
「なるべくお金を使わずに税理士になろう」
ということを最優先にしすぎると、逆に合格が遠のくこともあると思います。
資格を取るまでに何年かかるのか。
その間にどれだけ時間を使うのか。
資格を取った後にどんな仕事ができるのか。
そこまで含めて考えた方がいいです。
ある程度の出費は必要経費だと割り切って、自分が取れる戦略の中で最も合格可能性が高い方法を選ぶ。
それも立派な受験戦略だと思います。
自分にとっての最短ルートを決める
結局、大事なのは、
「どうやって税理士になったら格好いいか」
ではありません。
「自分だったら、どうすれば一番早く税理士になれるのか」
だと思います。
5科目受験が向いている人なら5科目受ければいい。
大学院を使った方がいい人なら大学院を使えばいい。
すでに税務官公署で長く働いているのであれば、免除制度を利用すればいい。
自分の勉強スタイル。
生活スタイル。
仕事。
家庭。
使える時間。
そしてお金。
そういったものと相談しながら、
「自分にとって最短で税理士になるにはどうすればいいか」
を最初に方針として決める。
そこが決まっていれば、途中でぶれにくくなると思います。
税理士試験を受けることそのものが目的ではありません。
税理士になることが目的です。
そして、税理士になった後に何ができるのか。
自分の強みをどう作っていくのか。
本当の勝負は、そこからなのかなと思います。
以上、私なりの税理士になるための戦略についてのお話でした。